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前川 雅樹; 河裾 厚男; 吉川 正人; 宮下 敦巳; 鈴木 良一*; 大平 俊行*
Physica B; Condensed Matter, 376-377, p.354 - 357, 2006/04
被引用回数:2 パーセンタイル:12.56(Physics, Condensed Matter)ドライ酸化SiO/4H-SiC界面には多くの欠陥が含まれていると言われているが、陽電子消滅法を用いて欠陥の構造評価を行った。ドップラー幅測定からは、SiO/4H-SiC界面にはSiOやSiCとは明白に区別される欠陥を多く含んだ界面層が存在することが明らかとなった。界面層での陽電子消滅寿命測定からは、構造がアモルファスSiOに類似した比較的空隙を持つ構造であることがわかった。界面層での電子運動量分布測定と第一原理計算による陽電子消滅特性のシミュレーションとの比較より、陽電子は空隙に存在する酸素価電子と対消滅していることが示唆された。酸化後の加熱焼鈍による酸素価電子との消滅確率の減少は、界面準位密度の減少と同じ温度領域で起こることから、界面準位の起源となる欠陥構造は陽電子を捕獲する欠陥構造と強く関連していることが示唆された。
前川 雅樹; 河裾 厚男; 吉川 正人; 宮下 敦巳; 鈴木 良一*; 大平 俊行*
Physical Review B, 73(1), p.014111_1 - 014111_9, 2006/01
被引用回数:20 パーセンタイル:64.39(Materials Science, Multidisciplinary)ドライ酸化法によって形成されるSiO/4H-SiC界面構造を低速陽電子ビームを用いて評価した。ドップラー幅測定より、SiO/4H-SiC界面にはSiOやSiCとは明白に区別される界面層が存在することが明らかとなった。界面層での陽電子消滅寿命測定からは451ps単一の寿命成分が得られた。これは界面構造がアモルファスSiOに類似した比較的空隙を持つ構造であることを示している。界面層での電子運動量分布測定からは、陽電子は空隙に存在する酸素価電子と対消滅していることが示唆された。第一原理計算による陽電子消滅特性のシミュレーションを行ったところ、SiO中に導入した酸素価電子を持つ欠陥構造での陽電子消滅特性は実験結果をよく反映するものであった。酸化後の加熱焼鈍によって観測される酸素価電子との消滅確率の減少挙動は、電気測定から求められる界面準位密度のそれと非常に類似したものとなった。これは、界面準位が陽電子を捕獲する欠陥構造と強く関連していることを示している。
前川 雅樹; 河裾 厚男; Chen, Z. Q.; 吉川 正人; 鈴木 良一*; 大平 俊行*
Applied Surface Science, 244(1-4), p.322 - 325, 2005/05
被引用回数:13 パーセンタイル:49.91(Chemistry, Physical)熱酸化過程においてSiO/SiC界面に残留する構造欠陥を評価するため、低速陽電子ビームを用いSiO/SiC構造における界面欠陥の検出とその評価を試みた。陽電子消滅寿命測定より、界面の構造はSiCよりも空隙が多くSiOに近い構造であると考えられる。ドップラー幅拡がり測定からは、界面領域においてWパラメータの増大が見られ、これは酸素価電子との消滅に由来することが示唆された。また酸化後にアルゴン雰囲気中でアニール処理を行うと、界面領域におけるWパラメータの減少が見られた。これは酸素価電子の影響が減少したことによると思われる。以上より、SiO/SiC界面には酸素ダングリングボンドを含む不完全酸化物が堆積しており、アニール処理を行うとこれが消失し界面構造の向上が図られるものと考えられる。